どの程度事態の深刻さを認識しているのかは定かでないが。まだ事態は流動的だ。一応、水島(仮名)と高杉(仮名)を安心させてやろうと思い、2人に電話をした。この2人は、ニューヨーク支店勤務時(1989年)私の部下として、債券売買業務に携わり、図らずも私の無断取引に加担していたのだった。とうとう告白した事や、今日まであったことを話し、2山路氏は、月曜日に帰国する予定であったが、明日1日ここに居る必要もなさそうだなと、自分の使命が思ったよりすんなり終わったことに、ほっとしている様子であった。私は、バークレーンホテルからの帰り道、月迄の辛抱だなと、思った。大和は山路常務の言葉通りどこにも怪我人が出ないよう、恐らく大和トラストと同様の処理をしようとしている。今日まで私は、もし大和が米国当局ヘ報告し、私を告訴するつもりであれば、即刻辞職して、弁護士を雇うつもりであった。今日の感触ではまだその必要もなさそうである。謀議7月のむし暑い日であった。家にたどりついて疲れ切った身体を休め、頭のなかを整理した。山路常務の言うように、誰も怪我しない方法なんて本当にあるのだろうか?私には残念ながらそこまで判断するだけの経営上の知識がなかった。
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